ご 挨 拶
人と庖丁とは、長い歴史があり共存してきました。それだけに、庖丁造りはさまざまの 工夫がされ機能的にも形態的にもほぼ完成された料理道具です。それぞれの「切れ味」 がありますが、デジタルな時代になり、切れ味についての関心が少なく薄らいでいるよう です。
食文化論は盛んに論じられますが、良い庖丁の素晴らしい切れ味が論じられる事 は 究めて少ないです。食物の味が文化であれば、庖丁の切れ味もまた文化なのです。
時代の流れと共に、新しいものが生まれ、古き良きものが消える。そうした新陳代謝が 起きる事は避け難い事ですが、伝統社会の中で生きる私達職人にとっては、非常に耐え 難い事であるのです。
私ども、刀匠一竿子忠綱本舗は、刃物の社会に身を置く者として、わが国特有の「切れ味」を維持すべく【百錬精技】を座右の銘とし、『切れ味の文化の火を消してはいけない』、これを生涯のテーマとして折れず、曲がらず、欠けない良く切れる庖丁を造り続けたいと思います。
今後共、刀匠一竿子忠綱本舗を末永く宜しくお願い致します。
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